浄化槽の疑問にお答えいたします
A16.便所が水洗になっている場合、使用後に流される汚水は、 (1)下水道に流されるか、(2)農業集落排水処理施設に流されるか、(3)浄化槽に流されるか、この3つのうちのどれかになります。そして汚水は、それぞれのところで処理されて河川などに放流されています。 (3)の浄化槽は、微生物の働きなどを利用して汚水を浄化し、きれいな水にして放流するための装置ですが、各家庭の敷地内に設けられていて、最も身近な汚水処理施設です。以前は水洗トイレからの汚水だけを処埋する単独処理浄化槽を設置出来ましたが、現在(平成13年4月以降)は、下水道予定処理区域(7年以内に下水道が供用開始になる区域)以外では、水洗トイレからの汚水と、台所排水、浴室排水、洗濯排水など(これらを生活雑排水といいます)を一緒に処理する合併処理浄化槽でなければ設置できないことになっています。 なお、浄化槽を規制する法律として「浄化槽法」という法律があり、様々なことが定められています。
A17.水の汚れの原因となるものには、汚水中の固形物と水中に溶け込んでいる有機物質(溶解性物質)とがあります。固形物は沈殿・浮上させることで分離したり、ろ材等でこしたりします。溶解性物質は微生物などの働きで除去します。 浄化槽には種々の処理方式がありますが、ここでは、家庭に設置される合併処理浄化槽でよく用いられている嫌気ろ床接触ばっ気方式(嫌気ろ床槽、接触ばっ気槽、沈殿槽、消毒槽から構成されています)を例にとって浄化の仕組みを説明します。 汚水は、まず嫌気ろ床槽(第1室)に入り、固形物を取り除くとともに「ろ材」についた嫌気性微生物(酸素のないところで働く微生物)が溶解性物質を除去します。つづいて、もう一つの嫌気ろ床槽(第2室)を通り、同じ処理を繰り返してから、接触ばっ気槽に入ります。ここでは、接触材の表面についた好気性微生物(酸素のあるところで働く微生物)がブロワーから送り込まれる空気の助けを借りて、溶解性物質を食べながら(除去しながら)成長します。次に沈殿槽に送り込まれ、汚れの原因である溶解性物質を食べて成長した微生物のかたまりである汚泥を沈殿させます。最後にきれいになった処理水を塩素剤で消毒してから放流します。
A18.浄化槽は毎年20~30万基設置され、平成15年3月末現在の全国の設置基数は約880万基に達しています。そして、下水道と共にわが国の水洗化人口を担っており、私たちの生活の中に根ざした、なくてはならない存在となっています。このように浄化槽が普及している今日、さらに住みよい暮らし、美しい環境を守るためにも私たちは浄化槽を適正に設置し、管理していかなければなりません。 このため、昭和58年5月に浄化槽法が制定されました。浄化槽法では、浄化槽の製造、施工、保守点検、清掃などがきちんと行われるよう技術上の基準を定めて規制したり、浄化槽関係の事業に従事する関係業者の責任を明確にしたり、資格制度を定めたりしているほか、浄化槽の使用者に対しても正しく使用するよう義務づけています。 浄化槽法に定められていることは、次のようなことです。